ご飯を食べるとお腹の調子が悪くなる、また下痢や胃もたれが続き、おならがたくさん出る・・・など、お腹の調子が悪い時は気分もすぐれず憂鬱になり、ご飯もなんだか気を使いますよね。お腹の調子がすぐれないとき、食事の偏り、あるいは仕事や家事などが忙しい、緊張する場面が多いなど原因は身近なところにあるかもしれません。
アーユルヴェーダはヨガをされている方はご存じの方が多いのでは?食生活や睡眠、デトックスなど、アーユルヴェーダには日常生活が豊かになる方法がたくさん詰まっています。今回はアーユルヴェーダとはどういうものか、そしてアーユルヴェーダでお腹の調子を整える方法をお伝えしていきます。
目次
アーユルヴェーダとは
アーユルヴェーダは「生命の科学」を意味しており、古代インドから伝わる伝統医学です。内容は食事法や健康法(ヨガ・瞑想・トリートメント)といった日常生活に関わるものから、思考など生命そのもの、まさに人生をかけて学びながら自身の精神性を高めていく科学なのです。(ヨガはアーユルヴェーダと姉妹化学と呼ばれる位置関係にあり、並行して学ぶことで心身のバランスを保つことに繋がると考えられています。)
お腹の不調から「消化力の低下」に気づこう。
アーユルヴェーダでは、消化のエネルギーのことを「Agni(アグニ)」といい、食べ物の消化・吸収の他、免疫機能の面でも大切になります。また、アグニは食べ物の消化の他、心や情報の消化にも大切な役割があります。アグニが強すぎず、弱すぎず、正常な状態であれば、食べたものは消化され、体に必要な栄養素となり適切な場所に運ばれて体を養います。アグニが弱まるということは、食べ物の消化や心の消化力が弱まり、消化できなかった未消化物=「アーマ」が心身に蓄積していきます。体内にアーマが蓄積すると、血管などの体の経路を詰まらせ体に備わる本来の機能を阻害し、様々な症状を引き起こし、ついには病気へと繋がります。
また、心も同じように未消化な経験や感情も食べ物と同じように有害な残留物として心に蓄積されます。すると、感情のエネルギーの流れを滞らせ、恐れや怒り、心配などのネガティブな感情となりストレスなどの精神的な苦痛へと繋がります。
アグニが停滞、不規則な状態、あるいは活動しすぎている状態のとき、胃痛や便通の乱れとなり、イライラや不安感といった感情の乱れを引き起こします。こうしてみるとわかるように心と体はいつでも密に繋がりあっています。日常生活の中で消化器官の働きを改善していく方法を取り入れ、健康な心身へと向かっていきましょう。
消化力の改善が期待できる食材
お白湯を飲む
内臓の冷えは消化の動きを低下させ、消化力が低下します。また、内臓の冷えはお腹の不調の他、冷え性にもつながり、全身の巡りが滞るため注意したいもの。冷たいものを好む方はお腹が冷えて動きが悪くなっている可能性があるため、お白湯を摂り、体の内側から温めることが大切です。また、手軽ながら水分を摂り体に溜まったアーマをデトックスしてくれる嬉しい効果も。お白湯は身体を温め、水分を補給することを目的とした沸かしたお湯と不純物を取り除いた純粋なお湯があります。手軽に日常に取り入れやすいのはケトルなどで沸かしたお湯ですね。もう一方の不純物を取り除いたお白湯の作り方をご紹介いたします。
①鍋にお水をいれ、火にかけます。(お水はミネラルウォーターでも水道水でも構いません)
②10~15分間沸騰させ続け不純物を取り除きます。蒸発するため、多めに水を入れましょう。
③不純物が取れたお湯はまろやかで角がなく、一味違う味となります。
CCFティー
C…クミンシード C…コリアンダーシード F…フェンネルシードの頭文字をとりCCFティーと名の付くこちらのお茶。
クミン…消化促進・ガスだまりを防ぐ・リラックス
コリアンダー…抗酸化作用・デトックス・活性酸素の発生を抑制する
フェンネル…消化促進・痰を除去する作用・お腹が張る時に効果的
などそれぞれお腹を整えてくれる心強い効能を持つスパイスです。
①各スパイスをティースプーン1杯ずつティーポットや急須にいれ、お湯をそそぎます。
②2~3分蒸らし完成です。手軽でとても飲みやすいお茶です。お腹の調子を整えたい時やデトックスしたい時などにおすすめです。
生姜に岩塩・レモン汁をかけて摂取する(ジンジャーアスペタイザー)
胃腸の調子を整える「ジンジャーアスペタイザー」は内臓の動きを活性化させ、消化促進とデトックスに効果があります。飲み会・パーティの翌日など胃腸が疲れている時など食前に一口食べることで胃酸の分泌を促進して消化力を高めてくれると言われています。
①生姜のスライスを1枚。千切りにします
②レモンをひとしぼり、岩塩をひとつまみまぶし完成
かんたんに手に入る食材なので取り入れやすいのが嬉しいですね。消化力が弱っている時、ぜひ試してみてはいかがでしょう。
消化力を高めるアーユルヴェーダ的健康習慣
次は消化力を高める日常のヒントを紹介していきます。何となく食事をとっている、お腹の調子が今一つの時、どういう対処法をしたら・・・などお腹の調子を整えるため実践できるものから取り入れ、胃腸の健康を改善・維持していきましょう。
お腹がすいてから食べる
アーユルヴェーダでは食事は自分の身体にお供え物をするような「神聖な時間」とされています。ダイエットなどで「ひとまずお腹を満たす」という行為が日常化していませんか?「ただ満たす食事」や、お腹がすいていないけど「お昼の時間だから」と食べしてしまう行動、またはだらだらと食べ続けてしまう行動は消化力を下げてしまうのです。お腹がすいて「ぐ~」とお腹がなるのは胃が食べ物の残りカスをしぼりきっている音になります。しっかりとお腹がすいてから食べることで胃腸への負担が軽くなり、アーマの蓄積を予防することができます。
また、低血糖などの症状があり、空腹になることが怖い方は自身の食生活を見直してみてはいかがでしょう。食事に対しての制限や自分自身にかけている制限が厳しすぎる場合、ストレスの発散などから食事への意識の偏りが生まれドカ食いと節制を繰り返して血糖値の乱高下が起こりやすい体質に繋がり、胃腸にも負担をかけてしまいます。ダイエットや身体づくりの為に食事に対して自分に厳しすぎる制限をかけていたら、見直して心身の負担を軽くしていきましょう。
食事を味わう
先ほどの項目と通ずるところがあるのですが、食事は自らの身体にお供え物をする神聖な時間であるとともに、動植物・生産者の方々それぞれが命を使って私たちに食物を届けてくれています。食事はその一皿にそろった沢山の命を頂く時間です。じっくりと噛んで味わうことで五感が満たされ、少量の食事でも満足感を得られるとともに、「頂きます」「ごちそうさまでした」と唱えることで食事のメリハリがつき、脳に食事のスイッチが入り、消化が促進されます。何よりも食べ物が細かく咀嚼されて消化しやすくなります。忙しく時間に追われているとき、1日1食でも、このような時間を大切にする習慣を身に着け、少しずつ増やして心身共に満たしていきましょう。
新鮮で加熱した食事をとる。
胃のもたれ、膨満感などの不調を感じる時はお刺身などの生ものや乾物(ドライフルーツやドライ野菜)などは消化に時間がかかり、未消化のまま、あるいは排便が乱れる原因となります。こういった症状のある時は胃腸に負担のかからない出来立てで火が通ったものを食べるようにしましょう。また、アーユルヴェーダでは作ってから時間が経った食品は消化に時間がかかってしまい、身体が重くなりやすいのだそうです。乾物やチーズなどの食べ物は控えることをおすすめします。新鮮な野菜やスパイスなどの入ったスープや脂っこくない食事で胃腸を休めましょう。
胃腸の健康は心身の健康
アーユルヴェーダでは消化力は心身のサイクルを整えるうえで非常に大切な役割を果たしていることがご理解いただけましたでしょうか?胃腸の不調を感じた時、自らの生活を少し見直すチャンスと捉え、心身が心地の良い食事をご自身に届けて体の内側から健康を目指していきましょう。